2011-10-11

[LIfe] ありがとう Steve Jobs

思えば,私のコンピュータ体験は大学に入って Next コンピュータに触れたときに始まった. そのときは,Next がどれほど特別なコンピュータか分からなかったのだが, そのグラフィクスの美しさに感銘を受けたものである. 大学には Mac もあったが,とても Next にはかなわないように思った. なんとか手に入れられないかと思って,調べ始めると 貧乏学生には手が届かないほど高いものであるということをすぐに悟った. そして,それが Apple から独立した Steve Jobs なる人物が 作ったものであることも,そのとき知った. 大学の研究室に配属されると,生物系だったので 主に Mac が使われていた. Sun や SGI のコンピュータもあり, 古い部屋には VAX だったかな?歴史的なコンピュータも置いてあった. (vt100 の端末がある!と思ってびっくりした覚えがあるような) どうしても自分のコンピュータが欲しくなって, なけなしのバイト代をはたいて, フロッピーのない PowerBook Duo 230 という機種を購入した. それが私の初めてのコンピュータだった. 何をするにもネットワーク経由で, 今思えば,MacBook Air に通じるものがあった. このコンピュータは長い間よく働いてくれたのだが, あるとき OS をネットワーク越しに更新している最中に 線が抜けてしまってOS を再インストールする手段がなくそのまま死んでしまった. そのときのどうしようもなく悲しい気持ちは今も覚えている. ほんとにアホだったな. それ以来,Mac をずっと使ってきた. MacOS 9 で Mac が打ち止めになり, Steve Jobs が Apple に戻ってきて MacOS X の preview 版を Next を思い出しながら,どきどきしながら使ったり.. G3, G4, G5 そしてインテルへの突然のCPU の方向転換.. Steve Jobs が Apple に戻ってからの彼の活躍の時代は 大学から院,ドクター,研究員,助手と研究人生を歩んできたのと ちょうど重なるんだなぁ.ずいぶん長く Mac にはお世話になっている. 振り返ってみれば,研究費で自分のコンピュータを買えるようになるまでは, かなりのお布施を自腹で支払ってきたが,それは一つにはデザインに 感化されてしまったからなのだろう. それも彼が大学を中退したときに単位に関係なくもぐりで受けた授業で 聞いたカリグラフィーの話に始まったと聞くと, 偶然を引き寄せる直感のすばらしさを感じてしまう. PowerBook Duo の小さな画面を見ながら,Next のような美しいグラフィクス環境が ノートパソコンで実現するような時代は来るのだろうかと思っていたことを思い出したが, 今まさに,それが実現している MacBook Air でこの駄文を書いているのだ,と思うと 「あぁ,あのとき願っていた未来は,今なんだな」と少し幸せを感じる.

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