学部長のK先生と一緒になる時が多い.
私はあまりしゃべり上手ではなく人見知りがはげしいので,
こちらから話かけるということはないのだが,
そんなむっつりした新人を和ませようと
この帰りのバスの中ではよくK先生は話しかけてくれる.
あるとき,ふと
「先生は,全共闘の世代なんでしょうか?」
と尋ねてみた.
私にとっては全共闘というのは,
テレビで東大安田講堂で放水していたり,漫画や小説などで
断片を知るほとんど神話の時代なのだが,
実際にその時代を過ごした人から直接話を聞いたことがないので
ちょっと興味を持って聞いてみた.
「いえ,僕は少しあとですね.
なので,僕らの世代は全共闘がお祭りをやった後の
後片付けの時代なんですよ.」
そこから世代論?になり,
団塊の世代は人数が多いからか,アグレッシブでガツガツした人が
多いが,それより少し後の世代は,そういう人達を見ていたからだろうか,
どうも冷めた目で見ている人が多いような気がするとのこと.
「指導教授からもよく「もっと情熱をもって研究しろ」なんて
言われたけど,そういう面は上から見てると物足りなかったんかね.
でも,自分としては,逆に,ポリシーとして研究に情熱なんか
持ち込んだらだめだと思っていたよ.」
なるほどね.反面教師として上の世代を見ていると,
かえってそういう性格が醸し出されるのかもしれない.
実は,「後片付け」はそのときだけではなかったようだ.
ちょっと前に大学で音頭をとっていた人は団塊の世代にあたり,
かなり運営面で大きな混乱があったらしい.
「まぁ今になっても,私らの世代は
また団塊の世代の後片付けをしているっていうことですよ.ははは..」
私自身はそれほど自覚はしていないのだが,
時代から人格形成に受けるものというのは,
意外に大きいのかもしれない.
などという話を聞きながら,夜の人寂しいバスで山を下りて家路に着くのであった.
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